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- 谷元工務店 二代目社長物語「三章 困難な毎日」
その後、父の下について修行の日々が始まりました。苦労の連続になるかと戦々恐々としていたのですが、これが思いの外充実した毎日でした。最初の1〜2年は仕事を覚えるのが楽しくて仕方がなかったんです。汗を流して一日中働いて、くたくたで帰ってきて、ビールを飲んで布団に入る。身体を動かして働く楽しさに30才を過ぎて目覚めたようでした。
そんな毎日が3年ほど続くと、だいたい家を建てる一通りの流れが把握できるようになるんですね。工務店の仕事ってこんなものなのか、ってちょっとずつわかってくる。すると、ちょっと変な色気が出てきて、父と違う方法でやってみようか、とか、違うルートで仕事とってこようか、なんて欲が出てきたんです。
そうなると、父と揉めますよね…。このあたりから、いろいろ失敗したり、親とも衝突したり、と問題にぶち当たったんです。やりたいことはあるのに、うまく進められない。自分の考えを認めてもらえない。でも、自分がまだ未熟なこともわかっている。そんな状況への苛立ちで悶々としていました。暗い表情をしていたと思います。そんな時期が半年も続いたでしょうか。
勉強会でイヤというほど思い知らされた、小さかった自分。
そんなときに、経営者や二代目経営者が集まる勉強会に参加する機会があったんです。それまで、「こんなに頑固な親父の息子なんか他にはいない、俺は人一倍苦労してるんや!」なんて思っていた私は、皆さん方に、そりゃもうボコボコに言われました。「そんな小さなことで悩んでるんか?」って。自分と似た立場にいる相手からのキツい言葉。そこで私は、自分が自分だけの狭い世界に入り込んでいたことをイヤというほど思い知らされたんです。